マスタリングの考え方については前回(マスタリングとは)でお話させて頂きました。それを踏まえて今回は実際にどういった手順でマスタリングを行うか、どのような意図でエフェクトを使うかについてお話致します。
2mixのチェック
2mix側で不手際があり問題が発生している場合、マスタリングが行えません。その場合は2mix側に連絡をとって再度提出してもらうようにしましょう。具体的には以下のような項目を確認します。
- リミティングされていないか
- クリッピングしていないか
- 曲の開始と最後が切れたりしていないか
- その他書き出し音に明らかな不具合がないか
曲間の調整
曲の開始を0.2秒程度で調整します。また曲の最後も2秒程度空白をとり曲間が自然になるようにします。
エフェクタのインサート
これに関しては人によって千差万別です。ですが、基本的なエフェクタの順番は変わらないかと思いますので、ここでは基本的なエフェクタ例を紹介します。基本的なエフェクタの考えを組み込んで、自分だけのエフェクタルーチンを探すのもマスタリングの楽しみのひとつかもしれません。
基本的なエフェクト例
- EQ
- (MB)Compressor
- Exciter*
- Stereo Imager*
- EQ
- Maximizer
- Analyzer
*必ずしも必要ではありません。
1.EQ:エフェクタに通す前に下地を整えます。主にコンプレッサの挙動が変わってきます。
2.Compressor:ダイナミクスを整えると共に、サウンドに迫力を与えます。マキシマイザを掛ける前にコンプレッサでダイナミクスを整える事によりより自然にマキシマイズされます。
3.Exciter:サウンドにパンチや煌びやかさを付与します。
4.Stereo Imager:サウンドのステレオ感を整えます。
5.EQ:最終的なサウンドのトーン調整を行います。これより前のエフェクタによりキャラクターが変わっているので調整が必要になります。
6.Maximizer:音圧を調整します。
7.Analyzer:サウンドの状態を確認するため一番後ろにインサートします。
個々のエフェクタの詳しい解説は後日記事にしたいと思います。
サウンドチェック
この作業を怠ると良いマスター音源は作れません。時間は掛かってしまいますが、できる限り綿密なチェックを行うようにしましょう。
- 音割れ・クリッピングをしていないか。
- エフェクトを全て外してオリジナルの2mixと比較する。オリジナルより良くなったか。
- 視聴環境(ヘッドフォンやスピーカー等)を変えてもサウンドに大きい変化がないか。
- モノラル環境でもサウンドに大きい変化がないか。
- お気に入りのリファレンスを用意して比較する。
- 同アルバム内の他のトラックと比較し一貫性のあるサウンドになっているか。
- 時間を置いて確認する。
エクスポート
エクスポオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオトッッッッッッ!!!!!!!!!!!!
ディザー
外部ツールを使っても良いですし、DAWの機能を使っても構いません。私はiZotopeのスタンドアロンプラグインでまとめて行っています。
寝る
寝ます。一晩寝かせると美味しいおでんと同じです。翌日に再度サウンドチェックを行い調整をしましょう。
最終チェック
ファイル名・ファイルの形式を最終確認して、作曲者にマスターのチェックをしてもらいましょう。
マスタリング実施者以外の確認をしていない方もいるかと思いますが、個人的に非常に重要だと考えています。時間がとれるならば自分以外の人にも確認をとってもらいましょう。
さいごに
マスタリングの実際の手順についてざっくり書きました。マスタリングとはの記事と合わせて読んでもらえると、マスタリングについておおよそのポイントを知ることができるのではないでしょうか。途中にも書きましたが、エフェクタに関する詳しい説明は後々記事にしていきますので、どうぞ宜しくお願い致します。