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マスタリング

マスタリングのMidSide処理

投稿日:2018年6月17日 更新日:

 

MidSide処理(MS処理)はオーディオ信号をMidとSideに分けて処理することです。MS処理を使うとMid部分に位置するドラムにのみ迫力をあたえたり、Side部分を適切に処理してステレオ感・飽和感のあるサウンドを演出することができます。ここではMS処理の簡単な説明と、効果的な使い方を解説していきます。

MS処理とは

通常オーディオ信号はLeft(左)とRight(右)の2チャンネルの信号によって構成されています。ステレオとはまさしくこの事です。私達が普段使うイヤホン・ヘッドホンなどは全てこのステレオタイプです。

LRイメージ

 

それをある処理(※)を行うことでMid(中央)とSide(両側)の2チャンネルの信号にわけることができます。

MSイメージ

 

(※細かい話)

Midとは「LかつR」の音、
Sideとは「(LかつR)以外」の音となります。

自分の手でもMidとSideに分けることができます。
L+R逆位相 → Side(L)
R+L逆位相 → Side(R)
Side(L) とSide(R)をそれぞれパンを振れば Sideの完成
ステレオ+Side逆位相 → Mid
という手段です。実際には使いませんが、知識として紹介しました。

 

 

MS処理のよくある使い方

MS処理でもっともよく知られる使い方は、「Sideの音量を上げて」または「MSコンプでMidをコンプで抑えてステレオ感を増幅させるという使い方です。

実際に聞いてみましょう。

●オリジナル

 

●Side +2db

 

ステレオ感が増して飽和感のあるサウンドになったかと思います。

ステレオの処理ではこういったサウンド変化はできないため、MS処理はステレオイメージを調整する上で欠かせない存在です。

 

MS処理の注意点

マスタリングの項で散々言ってきましたが、こちらもやりすぎ注意です。

ステレオ感を上げようとSideを上げすぎてしまうと、定位が崩れてしまいます

加えてMidが薄くなると芯が細くなってしまいます。

要否の判断、定位の乱れの判断を間違わないように注意して繊細に扱って下さい。

 

MS処理の効果的な使い方

上で紹介したとおりにSideの音量を上げても構いませんが、単純に音量を上げてしまうと不必要な帯域まで音量が上がってしまいます。加えて、ミックス全体のステレオ感しか弄れませんよね。

そういった場合はMS処理のできるイコライザを使うと良いでしょう。

例えば以下のような使い方をすればステレオ感を上げるだけでなく、ピンポイントで狙った効果を得ることができます。

  • Sideの8kHz以上をシェルビングでブースト → ステレオイメージを自然に広げる
  • Sideの200Hz以下をシェルビングでカット → 低域の濁りを解消する
  • Sideの500Hz付近をブースト → 空気感を出す
  • Midの60~100Hz付近をブースト → キック・ベースの補強

ほかにもMidに置いてあるスネアやリードを弄ったり、耳につく3kHz付近のSideをカットしたりという処理もします。

またイコライザやコンプの他にも、サチュレータを使ってSide成分のみ高域を滑らかにしながらブーストするみたいな使い方もできます。新たな用法をいろいろ試してみましょう。

 

Imagerとの組み合わせ

MS処理で得られるステレオ感とImagerで得られるステレオ感は異なります。

MSコンプでSideをブーストすると、300Hz以下も一緒にブーストされて低域部分が濁った感じになります。

それでもMSコンプを使ったステレオ感が欲しい場合は、MSコンプの後にマルチバンドイメージャーで低域を狭めるという方法を取ることができます。

単純にステレオ感を出すだけでもまったく音の性質が違うので、特徴を理解して使用してみて下さい。

 

さいごに

MS処理を使用しないというエンジニアの方も居ますが、MS処理を用いてステレオイメージをコントロールできるようになるとマスタリングでより一層良い音を出すことができます。

MS処理をステレオ感の増幅だけに使用していた方はここで紹介した使い方を是非試してみて下さい。







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