新製品クラウド型ループシンセOutput Arcadeを検証してみた

  • 2018.06.14
  • DTM
新製品クラウド型ループシンセOutput Arcadeを検証してみた

先日6/12にOutput社の新製品「Arcade」がリリースされました。Output社といえばREVを皮切りにユニークで高品質な製品をリリースし続けているデベロッパーです。今回リリースされたArcadeも非常にユニークで面白そうだと思い触ってみたので、少し込み入った検証を交えながらその感想を記事にしていこうと思います。

Arcadeの特徴

毎日サウンドが追加されるクラウド型ループシンセ

なんといっても最大の特徴は、プラグインからクラウド上にあるサウンド素材を自由に使用できる点です。従来のように予め膨大な量のサウンドをPCにインストールしておく必要がありません。

そのため、サウンドが追加されても面倒な手間は一切かかりません。プラグイン上でダウンロードボタンをクリックするだけで新しいサウンドが追加されます

クラウド型という特徴を最大限に活かした、毎日の新サウンド追加というサービス、素晴らしいですね。

 

豊富なサウンドライブラリ

現時点(2018/6/14)で15Lines/509Kits/15025Loopsものライブラリが存在します。

Lineとは大きなジャンル区分と思ってもらって構いません。そのLineの特徴に沿ったKitsが20~50個ほど存在しています。Loopsはご想像の通りサウンド素材そのものです。

インストゥルメント系、パーカッション系、ドラムキット、ジャンルキット等種類は様々です。個人的に嬉しいFoley系の音も収録されています。

素材ごとにあらかじめキー設定がされており、キー変更が容易である点も便利です。

毎日追加されるという事で今後が非常に楽しみです。

 

高品質なサウンドエンジン・エフェクト

ループシンセにとっては必須の機能である再生速度の変更については非常にきれいな音質を維持することができます

ループエディット部には他にもフォルマント変更やトランジェント検出・フィルター・リバース・ループといった機能も使いやすく整備されています。

Arcade全体としては、エフェクタ11種・マクロコントロール4つ・モジュレーション(LFO・STEP)2つ・内部ミキサー及びセンドトラック2つが実装されておりプラグイン内部で音作りが完結できます。

エフェクタ11種は一通り試しましたが、どのエフェクタも高品質で単品で使いたいレベルです。

またLineごとにプリセットとして設定されているマクロコントロールエフェクトもユニークで面白い音が出るので、とりあえずArcadeに読み込ませてエフェクトをかけるといった使用方法でも十分力を発揮できそうです。

ただし、サンプルの細かい再生位置の変更やループ位置の変更などはできません。BPMかトランジェントに則ったGrid通りの動きしかできないため、その点は注意です。操作性を重視したデザインになったということですね。

 

ユーザーキット

用意されているサンプル素材だけでなく、自分の用意したオーディオ素材ももちろん使用することができます。

自由に自分で作製したキットも保存できますし、Arcadeで使用したループ素材の履歴も保存されていますので非常に使い勝手が良いです。

 

その他機能やどのような音が収録されているかについては、公式サイトComputer Music Japan様を御覧ください。

 

サンプラーとしての検証

ここから少し細かい話をします。Arcadeのサンプラー機能がどのようなものかを実際に検証していきます。

再生速度の検証

オリジナルのループ素材と、より早いループを2つ、より遅いループを2つ用意しました。

多少BPMを変化させてもサウンド劣化が非常に小さく優秀ということがわかります。

●BPM 75

 

●BPM 85

 

●オリジナル BPM 94

 

●BPM 105

 

●BPM 130

 

 

再生音の検証

サンプラーによって再生音にわずかな違いがあります。オーディオファイルの直張りと、Arcareでの再生音、それを逆位相でぶつけた音を比較しました。

●DAW直張り

 

●Arcade

 

●逆位相

 

逆位相から分かる通りアタック音がわずかに出ています。Arcadeの音をよく聞くとアタックが僅かに遅い事がわかります。

この事から、Arcadeはアタック音が重要なドラム類の単発使用には向かないと判断できます。

あくまでドラムサンプラーではなく、ループ素材をエディットして音を出すことを主にしたデザインのようです。

 

さいごに

クラウド型のループシンセということで、目新しい機能がたくさんあり非常に興味深いプラグインでした。

まとめると

  • 毎日追加されるサンプルを自由につかえるという新しいプラグイン
  • 既に15000以上のループ素材を搭載
  • 高品質なエフェクタ搭載
  • 再生速度による劣化が少ない優秀なサウンドエンジン
  • ただしドラムサンプラーとしては向かない

100日間フリー、その後$10/monthとなっております。斬新なプラグインなので、是非一度試しては如何でしょう。

公式サイト https://output.com/arcade

 

Computer Music Japan様の記事を参考にさせて頂きました。

毎日新しいループコンテンツが提供されるクラウド型ループシンセサイザー/リズムマシン、Output「Arcade」リリース!

http://computermusic.jp/2018/06/13/%E6%AF%8E%E6%97%A5%E6%96%B0%E3%81%97%E3%81%84%E7%B4%A0%E6%9D%90%E3%81%8C%E3%83%AA%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%81%95%E3%82%8C%E3%82%8B%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%82%A6%E3%83%89%E5%9E%8B%E3%83%AB%E3%83%BC/

 

Output様の新製品もレビューしました!

 

Output社の新Granular FXプラグイン「PORTAL」をレビュー

DTMカテゴリの最新記事