DTMにおける「レイヤー」とは様々な音を重ね合わせてより良い音を作ることです。しかしただ適当に重ねるだけでは特に効果を得られないどころか、悪くなってしまう場合もあります。というわけで今回はレイヤーを題材にTipsを紹介していこうと思います。
メリットデメリット
メリット
- 自分好みの新しい音色を作れる
- 気に入った音を部分的に補強(グレードアップ)できる
- より分厚い音を作れる
デメリット
- めんどくさい
- トラック数が増える
- 気づかないうちに音が悪くなる事もある
メリットはなんと言っても自分好みの音色を作ることができるということでしょう。特にサンプリングのキックやスネアを使っている場合は、そのサンプル単体だとなかなか自分の想像通りの音にならないことが多いと思いますが、レイヤーすることによってその問題を解決しやすくなるでしょう。
デメリットはめんどくさいことです。そしてそのめんどくさい作業が必ずしも正解とならないのが難しい部分です。効果的に使えれば大きな武器になりますが、難しいです。今回紹介するTipsも含めていろいろ試してみるのが一番かと思います。
明確な目的を持つ
「レイヤーすれば音が良くなるからレイヤーしよう」という理由でレイヤーをしてもあまり良い結果は生まれないでしょう。理由をもってレイヤーをすると、どんな音をレイヤーすればいいか道筋がはっきりするかと思います。
例えば
- 全体的に音を分厚くしたい
- 高音域の質感を変えたい
- 中域を補強したい
- アタックの雰囲気を変えたい
など大雑把な理由で大丈夫です。
低音を重ねない
キックやベース等を作る場合は低音の被りは避けましょう。低音を重ねてしまうと音がぼやけて締まらない低音になってしまいます。
そうならない為に、メインとなるパート以外はハイパスフィルターをかけましょう。元の音色や作りたい音によって変わりますが、おおよそ150Hz以上が目安かと思います。ハイパスした中音域~高音域を重ねて音作りを行いましょう。
低音パート以外でも中低域のレイヤーが原因でごわごわな音になってしまうことがありますので注意が必要です。
単純に分厚くするために
音の雰囲気を変えずに分厚くするには、似た音を重ねる必要があります。しかし同じ音を重ねても大きい変化は得られません。
そこで似た音を重ねる場合は以下のような事を試して少し変化をつけてみましょう
- 楽器をかえる
- 発音タイミングをずらす
- アンプ等で少し音色を変える
- 録音ならば何度かトライしてそれぞれ重ねる
などなど少し変化をつければより効果を実感できるでしょう。
おまけTipsですが、上記のように変化をつけてPanを降るとステレオを広げることができます。ステレオに関しては広げ方が様々ありますが、その一つとして覚えておいても良いでしょう。
役割分担する
低域部分だけ、中音域部分だけ、高音域部分だけというように帯域で役割分担してそれぞれレイヤーパートで作るということも良いでしょう。
ベースで基音部分だけサブベースとして別で取り扱ってそれ以上の帯域は音作りで自由にすることでベースを安定させるなんてことはよくありますね。他には、EQで高音域を上げるのではなく、ハイパスした音を重ねることで高音域を補強するなんてことも私はよくやっています。
そしてパーカッションに関してはアタックだけ、リリースだけとった時間的な役割分担もよく行われます。
時間的役割の例はスネアドラムの作り方の記事を見てみればわかりやすいかと思います。ここではアタック、ボディ、テールとそれぞれのパートにわけて音を作って重ねています。
パーカッションと言いましたが、プラック系統のアタックだけ他の楽器のものを重ねたり、テール部分にはfoleyのサンプルをまぜたりと発想は様々でしょう。
シンセのレイヤー
シンセ、とくにスパソ(Super Saw)は重ねて分厚くしたいと思ったことがある人は多いと思います。そういう時はいろんなシンセを使って重ねてみましょう。単純な音でもシンセによって結構違ってますので、それを重ねるといい感じに分厚くなったりします。
また分厚くするとは別に、微量のホワイトノイズをレイヤーするということもよく行われています。これはフィルターが開いたときの高音域がよく伸びるように他開いたかんじも変化するためです。下のデモを聴き比べてみてください。
・ノイズレイヤーなし
・ノイズレイヤーあり
クラップ(スネア)のレイヤー
クラップやスネアのレイヤーはピッチとアタックに気をつけましょう。
パーカッションにもピッチがあります。そのピッチを無視して重ねてしまうと不快な音になりかねないです。アナライザー等で確認しながらピッチは合わせるようにしましょう。
アタックにも気を使う必要があります。パーカッションなのでアタックが強い音が多いですが、その強い音をすべて同じタイミングで鳴らすと耳が痛くなりそうな音になりかねません。必要な音以外は軽くフェードインさせたり、発音を速くしたり遅くしたりでバランスを保ちましょう。
また数種類のクラップを用意して発音タイミングとPanを変えることでステレオワイドなクラップを作ることもできるでしょう。ただしステレオワイドすぎて定位がぶれて傾いた音にならないように注意してください。
タイミングをずらす
これまでに何度か出てきましたが、タイミングをずらすという事もレイヤーするにあたって重要なことがあります。
タイミングをずらすことで変化がおきてレイヤーとしての効果を発揮できます。
例えばクラップの発音タイミングをずらせばアタックが厚くなって前に出てきたりします。録音した楽器やボーカルもすこしずらして重ねることで厚みをだしたりできるでしょう(同じものをずらすだけだとコーラスエフェクトみたいになります)
なんとなくまとめる
なんかまとまらないなーと思った特の解決方法のひとつとして、グループでまとめて同じエフェクトをかけてしまう方法を紹介します。
コンプやマルチバンドコンプ、アンプ、リバーブなんかが良い例でしょうか。そういったエフェクトをがっつりかけてしまって、無理やり・・・と言ったら語弊がありますがまとめることができる事もあります。
さいごに
タイトルやりたかっただけです。友達に言ったら「誰かやると思ってたw」って軽く笑われました。シクシク。
レイヤーは使わなければならない技術という訳ではないですが、音作りが微妙だと感じた時に助かる技術です。
今回紹介したのはざっくりとした例ですので、実際にどんな音を重ねると良いのかというのは目指す音や重ねる元の音でまったくかわってきます。
人によっては「こんな音まぜてるの!?」といったものが数多く存在します。普段聞いている曲にも耳を立てて、音を分解したらどんな音が重なっているかと想像するのも面白そうですね。
あっこのスベってる感じ、つ令和~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww