気をつけよう超高音のミキシング

気をつけよう超高音のミキシング

グロッケンやチャイムなど金属系の楽器は、曲にきらびやかさやアクセントを与えてくれる楽器です。それは金属独特の倍音を持っていることが関係しています。金属の倍音は上の帯域までしっかり出ているのが特徴のひとつですが、その高音域の倍音のバランスをしっかり考えないと非常に耳に痛いミックスになってしまいます。今回はその超高音のミキシングについてお話します。

ボリュームを上げがちな高音域とその理由

初めに例としてグロッケンの音を聞いてみましょう。

 

 

綺麗な音色ですね。

それではこの音をアナライザーで見てみましょう。

赤丸の部分がいわゆる「基音」という楽器を鳴らしたときの一番低い音なのですが、それ以上に高音の「倍音」が出ているのがわかります。

この一番出ている倍音というのが7000Hz以上なのですが、ヒトの耳は音域が高ければ高いほど(または低ければ低いほど)聞こえづらくなる傾向になっており特に高音域に関しては7000Hz以上から顕著にその傾向が現れます。(詳しく知りたい人はラウドネス曲線でぐぐって下さい)

それに加えて、モニター環境によって高音域の出方がかわってきてしっかりしたモニター環境でないと高音域が出にくい事があります。

上記2点の関係でついついボリュームを上げすぎてしまう事が多く見受けられます。

 

高音域が出すぎているとどうなる?

高音域が出すぎていると「耳に痛い」サウンドになってしまいます。

実際に体験したい方は、めちゃめちゃ大きい音量で上のグロッケンのデモサウンドを聞いてみてください。あまりオススメしませんが・・・。

ついついボリュームを上げがちな高音域の出るサウンドは、ちゃんとした耳やモニター環境をもってる人からするととっても耳に痛くて聞いてられなくなってしまいます。

CDやデータで曲をリリースする場合はほぼ必ずマスタリングの工程を挟みますが、そのマスタリングで全体の音量が上がるため問題の高音域もさらに強調されてしまいます。

 

高音域を出しすぎない為には

一番良いのは、高音域までしっかり聞けるモニター環境と耳を揃えることですが、いきなり揃えるのは難しいですね。

そこでアナライザーをうまく使いましょう。

マスターにアナライザーを挿入してサウンドチェックしてみましょう。

上画像のようにあきらかに突出している帯域があれば注意しましょう。ほかのモニター環境ではどう聞こえてるのか、イヤホンやヘッドフォンを使って確認できるならばしてみましょう。

聞き直したら確かに耳に痛いな・・・となれば「楽器のボリュームをさげる」または「高音域をEQで抑える」などの処理をしましょう。

そうすると音量をあげても耳に痛くないきれいなミキシングに一歩近づけるはずです!

 

さいごに

今回の話を軽くまとめると

  • 高音域は「モニター環境」と「ヒトの耳の特性」によって思ったより聞き取れていないことが多い。その結果「音量を上げがち」になっている。
  • 高音域が出すぎていると「耳に痛い」ミックスに。
  • アナライザーをうまく使って問題の部分を発見するようにしよう。

言ってることはとても簡単ですが、言われて意識するのとしないのとでは全然違ってくると思います。

グロッケンを例に挙げましたが、その他にオルゴールやハイハット類、スネアの高音域、ノイズ系なんかも該当するかと思います。

今後のミキシングに役立てば幸いです。

 

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