マスタリング難しい、よくわからない、なにすればいいのって方はとても多くいると思います。なんとなくでやってしまうと、せっかく丁寧に作った曲が最終工程のマスタリングのせいで台無しに・・・なんてこともあります。そこで今回は、そういった事がなるべく起こらないようにするために、マスタリング初心者に向けて最低限気をつけるべきことをまとめてみようと思います。
リミッターをかけすぎない
マスタリングといえば音圧アップ、音圧アップといえばリミッター(マキシマイザ)という人も多いと思います。
音圧は確かに重要ですが、音圧ばかりに目(耳?)がいってると重大なミスを犯してしまいます。
リミッターに音を突っ込めば突っ込むほど音割れ(歪み)が発生します。
そんなこと知ってるよ…という顔をしてこの文章を読んでいるのがわかります…わかりますよ。
わざわざ赤文字で書いたんです。つまり平気で歪ませてる人が非常に多いんです。
かくいう私自身も歪ませてしまうケースも存在するくらい繊細な部分です。
上と下、両方共歪んでいるのがわかりますか?
下のデモは露骨に歪んでいますね。音圧を求めるあまり下くらい歪んでしまっている楽曲はかなり見受けられます。
上のデモは判断は難しいかもしれません。またはこの程度の歪みは許容する方もいるかもしれません。
歪みとかわかんないよぉ・・・という人は頑張って耳を鍛えるかマスタリングを外注しましょう。
ラウドネスメーターを使うのも一つの手かもしれませんが、歪みを把握できないとやはりリミッターの調整は難しいかと思います。
また、歪みがなくてもダイナミクスが不安定になってポンピングしてしまうケースもあります。
コンプレッサーの掛けすぎの場合に顕著にみられる現象です。
音圧があるほうが良いマスタリングではありません。
歪みやダイナミクスを気にしてバランスの良い音圧を目指して下さい。
リファレンスを用意する
マスタリングの正解はなんだろう?と思う方も多いと思います。
正解は様々あると思いますが、一番簡単な正解は「プロの楽曲に似せること」です。
つまりリファレンス(参考楽曲)を用意してそれに似せるようにイコライザーやリミッターを調整するということです。
どんなリファレンスが好ましいかというと、似たジャンルで自分が良い音だと思うものならそれで良いと思います。
そういったリファレンスを用意することで指標ができて良い方向へ調整できるはずです。
リファレンスを用意してイコライザーで調整するかと思いますが、そこでちょっとしたアドバイスです。
●EQで調整するのは多くても2.0db程度。マスタリングで極端な調整が必要と感じた場合は、ミキシングに戻るほうが良いです。
●マッチングEQを使ってリファレンスの周波数特性を把握しましょう。
●リファレンスの音圧高すぎぃ!となっても前項のように歪んでしまう方が良くないです。リミティングのしすぎに注意しましょう。
マッチングEQはProQやOzone EQなどで実装されている機能で、AとBを比較してBに似せるようなEQを自動で設定してくれる機能です。マッチングEQについては後日解説しようと思います。
書きました。
エフェクタをかけるだけで終わらない
コンプでダイナミクス調整して、EQで周波数調整して、リミッターで音圧あげてマスタリング終わり!ではありません。
案外言われないと気づかないことも多いかと思うので箇条書きで簡単にまとめてみます。
- 頭は無音部分(1秒未満)をつくる。プレイヤーによってはうまく再生されないことがある。
- 最後は2~3秒余裕をもたせる。アルバム曲でなくても曲間を多少持たせたほうが良い。
- ヘッドルームとして0.3~1db程度確保しておく。mp3変換やアナログ出力の際の歪みを防ぐため。
- 無音部分で小さい音量のノイズが発生している場合はカットする。(ノイズ自体はミキシングでの問題ですが・・・)
- ファイル形式を確認する。CDなら44.1kHz/16bit。CDでない場合は特に指定はないがCDと同じにしておくと都合が良いときもあるし、音質重視で高い音質にしておいても良い。
- 後日改めて聞いてみる。案外重要。
さいごに
このブログ自体もマスタリングなどのよくわからない技術的なことを多くの人に知ってもらおうと初めた部分もありますが、今回はとくにマスタリングに手を付けだした初心者にむけてということで内容をまとめてみました。
リミッターに関しては、プロでも歪ませてしまってることもあるので本当に難しいです。
ここらへんの技術的な話はなかなか多く出回ってないので私自身色んな人の話をきいてみたいです。
ではでは良いマスタリングライフを~