2025年のマスタリング事情
お久しぶりでございます。
2025年のクリスマスイブは如何お過ごしでしょうか。
私は御覧の通りブログを書いています。ええ。
最近の個人的なマスタリングに使っているエフェクタ等のお話をしようと思います。
Ozone12は素晴らしい
iZotope社のOzone12は定番どころですが、唯一無二で素晴らしいです。12になって特に気に入っているのは以下の点です。
- stem分離の精度があがった
- Stem EQが便利
- 自動マスタリングのカスタマイズができるようになった
- IRC5が素晴らしい
- Bass Controlは今までと異なるアプローチでベースを補強できる
stem分離の精度が上がったことにより、マスタリング工程でのミックスバランスへの介入がより一層やりやすくなりました。専用のStem EQというモジュールも追加されていることから、様々なエンジニアがStem分離機能に期待していることが見えてきます。自身の楽曲をマスタリングする場合にはミックス工程に戻れば済む話ですが、他人の楽曲をマスタリングする場合にStem分離機能は無類の強さを発揮するでしょう。
Stem分離は特にボーカル調整にも役立ちます。曲によってはマスタリングなのにオートメーションをたくさん書くことも。ボーカルを抽出してオケにマスキングかけるとかもできたりOzone12があるからできる事の幅は非常に広いです。
自動マスタリングのカスタマイズ機能もかなり利便性が高まりました。ターゲットの指定や、挿入するモジュールの指定、目標ラウドネス、デフォルト設定の保存などが項目にあります。
追加モジュールの中でも特に気に入っているのがMaximizerのIRC5です。音が綺麗でクリアな状態が保たれます。動作が重い点がネックですが、クリアな音像を目指したいときは非常にオススメです。
Unlimiter…?知らない子ですねぇ。
最近よく聞くクリッパー(Clipper)
ここ数年で聞くことが増えたClipper。ラウドな2mixを作るために飛び出たピークをしっかり抑え込む。そんなモダンなミキシング/マスタリングに向けて地味だが確実に仕事をこなすそんなエフェクタです。
もちろん私もマスタリングで導入を試しています。ピークがきつい2mixに対して狙って制御できたり、音の輪郭を調整できるので活躍する場面が多いです。
Kneeの調整で音像が変わるのでパリっとさせたいならKneeの値は低く、逆に暖かさ、サチュレーション感を出したいならばKneeを上げてみましょう。InputとOutputでボリューム変化が無いようにマクロを組んでおくと音の比較がしやすいです。
無料ならばKilohearts ClipperやGClip、有料ならばStandardCLIPやNewfangled Audio SATURATEなんかが良いかと思います。
全体のトーンのマイブーム
これはどのエンジニアでも、自分の中の流行や好みがあるかと思います。正解はなく気分です。昔は40~50Hzが好きでしたが、最近は60Hzあたりの方が好きです。多分3か月後には違うことを言っています。
最近の私はかなりハイエンドを重視するようになりました。シンバル類や、シンセの高音がきつくならないレベルで楽曲の煌びやかさを出すようにしています。シンバル類や、ボーカルの歯擦音がネックになる場合は、ディエッサーやOzone12 Spectral Shaperで調整した上で、EQやサチュレーターで高音を調整しましょう。
低音に関しても重くなりすぎないように、ローエンドはカットしながら足りない部分をEQでブーストします。ベースが大きいとキックが埋もれてしまうので、冒頭で触れたStem EQ等を使って調整しています。
ステレオ感に違和感を感じる場合は、ローエンド~300HzあたりのSide成分が原因なことが多いです。Pro-Q4やOzone12 EqualizerなどMid/Sideを手軽に調整できるEQは必ず用意しましょう。
ラウドネス(LUFS)の目標値
マスタリングに終始つきまとうラウドネスというワード。私はここ最近ラウドなクラブミュージックは-7~5LUFS、ラウドネスを稼ぐ必要がなく音像を重視したいなら-10~-8LUFSあたりを基準に調整をしています。(もちろん曲やアルバムによって調整します)
よっぽどミキシングがうまくない限り-4.0代まで潰すと歪みが気になる曲が多いです。様々な方が参加するコンピレーションアルバムや音楽ゲームのマスタリングを担当することが多いので、ラウドネスには余裕をもって調整を行うことが多いです。
YoutubeやSpotify等の音量自動調整へ特別な配慮は行っていません。過剰なラウドネスは良くないですが、過剰なダイナミクスも良い状態とは言えないと思っています。
さいごに
今年は300曲近くの楽曲を担当させて頂きました。感謝します。
そして
メリークリスマス!


















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