約一年ぶりだそうです。お久しぶりです。もう年末です。今回はついにリリースされたiZotope Ozone10が如何に凄いかについて話していくために一年ぶりにブログを更新しようと思います。新機能や自動マスタリングのおすすめ設定などOzone10を使ってもう50曲くらいマスタリングしたのでその経験を踏まえておすすめの使い方も紹介していきます。
iZotope Ozone10は音楽にかかわる人なら誰でも知っているであろうマスタリングツールです。EQ、コンプ、マキシマイザーをはじめ様々なコンソールが16種類収録されています。安定して使いやすいものから個性的なものまであり、もはやOzoneなしでは生きられない人を多数生んだ非常に危険なツールとも言えます。
最初にいうとマジで良いツールです。
Ozone10を語る上で避けて通れないのが自動マスタリングです。曲の一部をOzoneに読み込ますことで、AIが自動分析して最適なモジュールとパラメータ設定をやってくれるまさに神のような機能です。自動マスタリング自体はOzone9から存在していましたが、Ozone10になって大幅に進化しました。後ほど詳しく触れます。
上部にあるボタンをポチッと押すと流れている音の解析が始まって「EQ・スタビライザー・インパクト・イメージャー・ダイナミックEQ・マキシマイザー」が適切な設定でインサートされます。
ジャンルも自動で判定されて、「シネマティック・EDM・ジャズ・ポップ・ロック」などジャンルに応じたトーンバランスとなります。ジャンルは自由に選択することもできるので好みや状況によって使い分けることができます。
とにかくこれが神機能。9とはほぼ別物となっており、めちゃくちゃ良い設定になってくれます。特に新モジュールがいい仕事をしており、ステレオ感やEQ設定もばっちり決めてくれます。
この凄さを伝えるボキャブラリーをまったく持ち合わせてなくて何も伝えられないのですが、とにかくこれ一つで下手なマスタリングがほぼ不要になります。
いやぁすごい…これのおかげで調整がやりやすくて私の作業時間もめちゃくちゃ短くなりました。iZotope最高!…僕の依頼減ったりしないよね?
おすすめ設定とかは後述します。
モジュールの効果量を調整できるAmountというパラメータが追加されました。これが非常に便利でエフェクタのパラメーターを変更しなくても効果量を変えられるため、調整が非常に楽になります。
9まではEQの効果量を下げたいなーと思ったらパラメータのGainをひとつひとつ触る必要がありましたが、Amountの登場によって1箇所触るだけで済むようになしました。
全部のエフェクタについていてほしいのですが、残念ながら自動マスタリングで使用されるエフェクタのみとなっています。
リアルタイムに問題のある帯域を制御したり足りない領域をブーストしたりしてくれるエフェクタです。これも自動マスタリングと同じ「ジャンル」を設定することでジャンルに応じたトーンカーブで調整してくれるようになります。
似たようなVSTとして「Gullfoss」もありますが、最も異なる部分は上記の「ジャンルごとに調整されるトーンカーブ」でしょう。
調整項目はAmountの他、帯域ごとのMix量も設定できるので高音域だけ除外するような使い方も可能です。
EQと合わせてけっこうトーンバランスが変わるので、Amountは15~30くらいの間で使うことが多いです。
パンチのあるサウンドを作り出すことができます。迫力なサウンドを作り出すことができる一方で変なダイナミクスカーブになることも…。効果は素晴らしいものなので、かけすぎに気を付けましょう。
新たに追加された「Soft Clip」で細かな調整がやりやすくなりました。少し歪ませたような感じでラウドネスを稼ぎたいときにほんのちょっと上げるといい感じになったりします。0~20%で調整することが多いです。
Soft Clipなど細かいパラメータについては和田貴史さんがYoutubeで詳しく検証をしているのでそちらをどうぞ。
ほとんどの場合自動で判定されたジャンルでもよいですが、好みによって使い分けると良いでしょう。依頼がくるジャンルはほとんどがEDM系なので、そのままEDMのジャンルセットを使用します。RockやRnB/Soulも低音に強く使用機会が多いです。
打ち込み系以外のマスタリングでシネマティック、カントリーなどの使用頻度が上がると思います。
一部ジャンルプリセットは大きく変わりすぎるので、似た方向性の別のジャンルを選んでも良いでしょう。
・Hip-hop/Rapは低音が大きすぎるのでRnb/Soulにする
・Jazzは低音が薄くなりすぎるのでCountryにしたりEQを調整する
2mixがしっかりできている曲ほどAmount量は下げた方が、元の良さを残すことができます。自動マスタリングの初期設定だとかかりすぎなことがおおいので、私は20~30%に落として調整しています。
逆に2mixに不安があるものに関してはそのままの設定でいくとクリアァでインテリジェンスでアダプティブなサウンドになるかもしれません。
Ozone10からはデフォルトでマキシマイザーのヘッドルームが-1.0dbになっています。ストリーミングサービスの普及などで環境がかわった影響でしょう。
iZotopeの犬であるところの私はこれにへつらい最近のマスタリングは-1.0dbに移行し始めていきます。
私の好みですがVintage Tapeは相変わらず好きです。質感がいい感じになって、低音の調整と全体のトーンを落としたいときにパラメータを追加でいじります。
自動マスタリングで装入されたモジュールの一番前に入れる、もしくは単独でマスタリングチェーンの手前のほうに挿入することが多いです。
Ozone10最高!9と比べて本当に何段階も素晴らしいものになっています。
まだ買ってない人はとにかく買って、自動マスタリングをはじめいろんな機能に触れてみるのがおすすめです。
マスタリングに悩んでいる人は絶対に損はしません。