前回「キックドラムの作り方」と同様に、スネアドラムの作り方を紹介します。スネアはキック以上に音作りの幅が広いのでキックより個性が強く出ます。ただしキックと同じで構成とコツさえ抑えたら比較的簡単に作ることができます。それでは実際に作っていきましょう。
パシィン!と弾けるようなスネアです。ダブステップ系で良く聞く音かと思います。
他にもいろいろなスネアがありますが一番手間がかかる音かと思い、この音色を選びました。
全てRack内で完結させました。Rackのダウンロード先は最後に紹介します。
スネアドラムは4つまたは、PreDelayを除いた3つで構成されます。
PreDelay:主に音量の小さなクラップ等をAttackの前に置くことでAttackの存在感を出すことができます。
Attack:パーカッションでは必須のアタックです。
Body:ポンという胴鳴りの部分です。
Tail:キックと最も異なる箇所です。Bodyの後の余韻を表現します。ノイズやリバーブを用いることが多いです。
シンプルにDecayの短いノイズを使用しています。
1.オシレータ・ボリュームエンベロープ
オシレータはSine波を使います。
Freqは150~400Hzあたりを選択します。今回は220Hzを使用します。曲のピッチに合わせると良いです。
エンベロープはAttackが50ms、Decayが150msで設定しています。注意点としては、通常のシンセのAttackは音量が0から最大まで上がる時間ですが、今回Initialを0dbに設定しているためAttackは音量が最大から減衰し始める時間という意味になっています。
Initial0でAttackを設定するとBodyの分厚さが変わってきます。
2.ピッチエンベロープ
キックではよく使用しますが、スネアでは必須ではありません。好みで判断して良いかとおもいます。
今回は12st(1oct)のピッチ変化、50msのDecayで設定しています。
3.サチュレーション
フィルタータイプを変えることでFilter Driveを設定することができます。サチュレーションと同様音圧アップの効果を得られます。
フィルタータイプをPRDに設定し19dbブーストしました。
ブーストしたぶん音量が大きくなるため、Output Volumeをさげました。
Attack+Bodyで音はこのようになりました。
Tail部分の作り方はレパートリーが多いです。
ノイズを使う・リバーブを使う・レイヤーするの主に3つの方法があります。複数使うことももちろんございます。
今回はノイズオシレータとリバーブを使って作っていきます。
1.オシレータ
先程言ったとおりWhite Noiseを選択します。
2.ボリュームエンベロープ
先に作ったAttack・Bodyと被らないように、Attack Timeを遅くします。
Attackを90ms・Decayを1sで設定しました。
3.EQ
ローエンド・ハイエンドをカットして音を整えます。
中域をカット・高域をブーストで味付けしています。
4.Corpus
Corpusというのは金属のような音を付与するエフェクタです。
味付けにほんの少し(Wet5%)使用しています。
5.Reverb
最後にリバーブでTailの温かさを付与します。
ここまででこんな音になりました。
冒頭でも触れましたが、PreDelayでアタック音をすこしズラすことでスネアの存在感が変わってきます。
使用しないこともありますが、今回は使用しようと思います。
17msほど早く発音したクラップを置きます。
クラップの音作りについては後日! →書きました!「Serumでクラップを作ろう」
スネアっぽい音にはなってきましたがもう少し良くしていきましょう。
短いリバーブで立体感を出します。
音を整えます。
Multiband Dynamicsは帯域ごとのサステインを調整できる便利なツールです。
という処理をしてBodyのキレを良くしながら、Tail部分の高域のみ伸ばしています。
軽く歪ませることで音圧をアップさせます。
2回目の登場です。
広いQで全体を調整しました。
コンプレッサーで音を圧縮させながらサチュレーションさせます。
最後にリミッターでピークを整えて完成です!
前回のキックの作り方に続いてスネアの作り方は如何だったでしょうか?
キックよりも構成要素が多くアレンジ要素が多いですが、構成それぞれでの音作りをしていくとやりやすいかと思います。
Tail部分の創意工夫でとくに表情の変化が現れると思うのでいろんな音作りにチャレンジしてみては如何でしょうか。
パラメータの変化はおおよそ同じなのでキックの作り方を参考にしていただければと思います。
今回紹介した手法で作ったスネアを作ったサンプルはこちらです。
※今回作ったラック+スネアサンプル10個をPIXIVfanboxで配布しています。
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ブシ〜〜〜!
ブシャァ
こういったパーツ毎に一から作るってことはあまりしてこなかったので、この記事を参考に実際に制作してみようと思います。
前回も含め、用途分析しての音作りという手法は様々なパートにも活かせそうな気がしたので、いろんなシーンで思考を再利用してやっていけたら、なんて感じました
参考になったようで嬉しいです。
パーカッションの作り方としてやシンセの使い方としていろいろ再利用できるかと思います。記事内で明確には示しませんでしたが様々な場面で活用できると思います。