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目で見るミキシング【アナライザ編】

ミキシングは自分の耳やモニタリング環境に頼ることが多くて難しいですよね。
しかし基本的な事は耳に頼らず、目で分かる事もあります。
目で分かる事は環境に左右されないため、DTM初心者でも自分のミキシングの良し悪しを把握できます。
というわけで「目で見るミキシングシリーズ」の第2弾、アナライザ編です。
(ここでいうアナライザとは画像のようなスペクトラムアナライザの事を指します。)

はじめに アナライザの種類

スペクトラムアナライザにも沢山種類があります。
DAW付属からフリーのもの、有料のものもあります。

fabfilter ProQ2
Ableton Spectrum
iZotope Insight
Voxengo SPAN

「で、何がオススメ?」

ってなるかと思います。
メーカーによって見た目や特性が違いますが…

同じものを同じ設定で使い続けてください。

気に入った見た目のものがあればそれで良いと思います。
同じものを使い続けて(プロの曲をアナライザ通して見るのもGood)慣れるのが一番かなぁと思っています。
ちなみに私はProQを主に使ってます。EQ刺すついでに見れちゃうのでわざわざ別でアナライザをインサートしなくなりました。

ちなみにアナライザにも設定項目があるのでそれも好みに合わせれば良いと思います。
下の画像みたいにProQをAbelton Spectrumのデフォルト設定風にもできます。
解像度やメーターの種類など変えられる項目はいろいろあるので気になったら弄ってみてください。

Ableton Spectrum風

 

大きすぎるパートを見つける

まずはこちらを御覧ください。

平坦

どの帯域も平坦になっていますね。
次に、この曲のクラッシュシンバルが入った時のアナライザを御覧ください。

クラッシュシンバル!

wow!

10kHz付近が一気に5dbも上がったのがわかったと思います。

これ実はマキシマイザー刺してるとめっちゃ音割れしやすいやつなんです。
プロの曲を見ると分かると思いますが、クラッシュシンバル等の目立つFXが鳴ってもそこまで顕著にアナライザに現れないと思います。
可聴域以上の音が出過ぎてる場合は耳で判断するのが難しいのでアナライザで確認するのが良いです。
多少飛び出る分には問題ありませんが、出すぎているパートはボリュームを下げたりしましょう。

また、ボーカルやリード・ピアノなんかもそのパートが入ったタイミングでアナライザで顕著に出ることがよくあるので注意しましょう。

 

ベースとキックのバランス

ベース
キック

これ画像だとわかりにくいんですよね…

赤いほうがベースのピーク、青いほうがキックのピークになっています。
実際に動いてるものを見るとキックかベースかは分かると思います。
好みやジャンルもあるかとは思いますが、私は基本的にキックを前(もしくは同程度)にしたほうが良いと思ってます。

キックを前にしたほうが、曲の芯がしっかりしてノリやすいミックスになります。
マスターにコンプレッサーを掛ける時もキックに引っ掛けた方が良い結果が得られます。

 

全体のバランス

ここで重要なのは、お気に入りのリファレンストラックを用意することです。
好きなアーティストで、作ろうとしているジャンルや雰囲気が似ているものが良いです。
海外アーティストの楽曲がミックスが綺麗なものが多いのでオススメです。
日本のPOPSやゲームトラックはオススメしません。

いくつか海外プロの曲を見てみましょう。

 

4つ打ちのクラブトラックを適当に選びました。
50Hz付近から10kHzにかけて3dbほど右肩あがりになるような形で、おおよそ同じですね。
(左のほうが右と比べてスパソがしっかり鳴っているので1kHzあたりが膨らんでいます)

では次にミキシングが気になった楽曲を見てみましょう。

1
2

1はストリングが大きすぎて3kHzあたりが飛び出ています。
とりあえずストリングスのボリュームを落としてから再度バランスを考えたほうが良さそうです。

2は中域を担当する楽器がなく凹んでいて、低域の音量に対して高域が大きすぎます。
中域を担当するような音を追加or音色変更をして、ハイハットの音量を下げると良さそうです。

少し露骨すぎたのでもう2例見てみましょう。

3
4

3は低音よりも中音~高音が下がっていて、こもった2mixになっているのがわかります。
ベースとキックを下げるか、中域の楽器やハイハットを上げると良さそうです。

4は逆に低域に対して6db近く高域が出ていて、参考にしたプロ音源よりも大きいですね。
この曲はハイハットではなく、シンセに混ぜているホワイトノイズが強すぎる気がしたのでそこを抑えると良さそうです。
またこの曲は2kHzにもピークがありますが、これはボーカルサンプルを用いているので問題なさそうです。

リファレンスを用意することで、違いがよくわかったと思います。
ぜひ好きなアーティストと比べて自分の楽曲をチェックしてみてください。

また、このように比較するのにマッチングEQというものが便利なので、後日使い方を記事にしたいと思います。

さいごに

アナライザは上で書いたような事だけでなく、様々な事を確認できます。
是非使い込んでミキシング技術の向上を狙ってください。
そしてあえて言いますが、アナライザには頼りすぎないように!!

purupan

View Comments

  • 毎回楽しみに見てます
    一個質問なのですが、ベースとキックのバランスの項の「マスターにコンプレッサーを掛ける時もキックに引っ掛けた方が」とはどういう意味でしょうか
    キックのピークにスレッショルドを合わせるという解釈であってますか…?

    • コメントありがとうございます。
      質問に関してはおおよそその認識で間違いありません。
      コンプレッサーはスレッショルドより大きい音に反応するわけですが、それがキックの鳴るタイミングである場合がよくあります。
      そうでなくベースの鳴るタイミングでも掛かってしまうと想定外の掛かり方をしてしまう場合があるので注意が必要になります。

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