先日行われました「ぷるれこマスタリング選手権」の結果発表を行います。応募頂いた音源や私自身のマスタリングを交えていろいろお話するので、参加した人も参加しなかった人もマスタリングの参考にして頂ければと思います。それでは始めていきましょう。
私の参考音源を貼っておきます。
ポイントとしてはクラブトラックとしてのベースの強さを残しつつ空間をあまり潰さないようにダイナミクスをある程度保って音圧を上げた点でしょうか。通常のマスタリングより音圧はかなり控えめになっています。
最優秀賞に選ばせて頂いたのは「mintslot」さんのマスタリングです。
サウンドトーンも聞きやすく、ダイナミクスと音圧のバランスが一番よく感じたので最優秀賞に選ばせて頂きました。
ファイル形式や最大音量のマージン管理もしっかりしておりサウンド面以外も良かったです。
強いて言うならば、ローミッド(200~300Hz)付近をもう少し控えめに調整しても良いかもしれません。
最優秀賞に1000円分のAmazonギフトを送らせていただきます。おめでとうございます。
出すぎていたローエンドを少し控えめに調整して、多めにリミティングしている印象ですが少し音を突っ込み過ぎかなと感じました。
ステレオは広げられていますが、ローミッドもかなり広がっていてコードプラックが全体をボヤっと包み込んでいる形になってしまっています。その部分は逆に狭めたほうが全体がよりスッキリするのではないかと思いました。
ハイエンドを控えめにしてローミッドも整理されていて聞きやすい音になっています。
しかし少し迫力にかけるように感じます。 もう少しゲインを上げたり、ステレオワイドにしても良いかもしれません。
コンプレッションが強めで、低域も強めに出ている印象です。
リミティング量はのバランスは良いのでローミッドの処理をうまくすればさらに良くなりそうです。
今回送られてきたマスタリングの中で一番音圧を稼ぎながらも綺麗な音を出していました。
かなりリミティングしているのですが、音割れもなく各帯域のバランスもとれています。
ただ最優秀賞にしなかった理由は「ジャンルっぽくない」という点です。
おそらくごりごりのベースミュージックのマスタリングならばこの作品を最優秀賞にしたかと思います。
ローエンドを控えめにしつつまとめているイメージです。帯域の全体的なバランスはキレイだと思います。
ステレオ感…とくにローエンドのステレオ感が広がっていて定位がふらついている印象を受けました。
ローエンドはあまり広げないほうが良いと個人的には考えているのでそういった処理をしてみましょう。
耳に痛い3kHz付近を削ってベース周り(100Hz付近)を強調したようなマスタリングです。
特にトランス系の音でガッチリハマる印象を受けました。
今回集まった中でも他にないサウンドの方向性で良かったです。
こちらも非常にうまく音圧が稼げています。
同様に音圧がある07とくらべってローミッド寄りのバランスになっていて、どちらかというとこちらはポップス系に適しているのかなと思いました。
とても良いマスタリングでしたが、あえて言うならばハイエンドをもう少し抑えめにしたほうが良かったかなと思いました。
音圧が上がるとその分高音域の音が耳に痛くなってくるのでそこのバランスは特に気をつけたらさらに良くなりそうです。
ローミッドを抑えめにして引き締まったサウンドでマスタリングされています。
珍しくないマスタリング後のサウンドですが、今回集まった中にこのようなサウンドは少なかったです。
理由を考えたのですが、今回の曲のコードプラックの美味しい部分がこのローミッド(300Hz付近)に集まっていてそれを削りたくないという思いがあったのかなと思いました。
その中で、この19の方はプラックのローミッドが出すぎていた為抑えたいと考えたのかと思います。
方向性は私と異なりますが、クオリティ自体は良くてローエンドもハイエンドもうまく処理されていると感じました。
マスタリングって本当に人それぞれで面白いですね。
ローミッド(300Hz付近)を補強しようとしたのでしょうか、広いQでブーストしたような音になっています。
個人的に今回の曲では2mixの段階でその帯域は十分出ていると思っていて、結果ブーストしたことでもっさりとした音になってしまっています。
似たジャンルのリファレンスを用意してそれを参考にマスタリングを行うと良いかと思います。
ローエンドがかなり抑えられている印象です。
一応クラブミュージックのくくりなのでもう少し低音を出して迫力を出したほうが良いと感じました。
500Hzが強調されていてもっこりした印象をうけました。
Side成分を強くした際に同時にこの部分が出てしまったかもしれません。エフェクタの掛ける前と後でバランスを確認しながらかけると良いかもしれません。
音がすこし寂しいのでダイナミクス系をもう少し使っても良いのかなと思いました。
ローエンドは控えめにしつついい感じにコンプレッションされてて良いと思いました。
音自体は良いのですが、ファイル形式が24bitであったり曲が短くなっていたりといった部分が気になりました。
本当にCDプレスするわけでもない上に細かい事かもしれませんが、マスタリングは本当に最後の工程ですので普段からこういう部分に注意しておくと良いでしょう。
残念ながら2mixそのままのようです。
提出前の確認は大事ですね…!
過去にこんな記事も書いてますのでご参考に。
リミティングのしすぎで音が割れてしまっています。
今回を機会に音割れというのはどういう音なのかということを学んで頂ければ大きな一歩になるかと思います。
ローエンドをかなり強調されています。
が、少しリミティングのしすぎで音割れをしてしまっています。
ローエンドがネックになって音割れすることは多いのでイコライザー等で調整してみると良いでしょう。
ローエンドとハイエンドを下げて、クラップが強調されれる2kHzあたりが大きくブーストされているでしょうか?
EQでいじっている量が多くて逆に音が悪くなってしまっている印象を受けました。
マスタリングのEQは味付けよりも、まず邪魔になっている音の調整に使うようにしましょう。
今回集まった中で最もベースが強調されているマスタリングです。
やはりバランスが低域によりすぎていて低域がしっかり出る環境だと特にアンバランスなが曲になります。
もしかしたらベースが聞こえにくいモニタリング環境かもしれません。
楽曲の最後がプツっと切れてしまっていてそこはマイナスポイントです。
ステレオをかなり広げられていますが、広げ方が悪いように感じます。
定位がかなりぶれているので、アグレッシブに使いすぎたかもしくはミックスに使うようなステレオエンハンサーを使ったと予想します。
ステレオエンハンサーといってもステレオの広げ方にいろいろ種類があり、発音タイミングをずらしたり左右に異なったエフェクトを掛ける系統のものをマスタリングで使用すると音全体がぐにゃぐにゃになってしまうので注意しましょう。
マスタリングの聴き比べ頭おかしくなりそう。
同じような音の微妙な差を聞いてて本当に正確に評価できていいるのかわからなくなってきました。
変なこと言ってたら本当にすみません・・・。
まあ冗談はさておき、総評ですが本当に個性が出るなと思いました。
音圧上げまくる人とダイナミクスと空間を大事にする人、ステレオを広げる人とそうでない人、ローエンドを出す人と調整する人。どれが正解ということはないのでいろんなパターンを知って自分の好みで組み合わせれば良いと思っています。
その指標として今回のマスタリング選手権でいろいろなパターンを聞けたのは良かったのではないでしょうか。
また各楽曲の評価で触れなかったサウンド以外の話です。
マスタリング後の音質は16bit/44.1kHzのCD音質以外の方が約半数でした。今回は特にCD想定をしていませんでしたが、特に指定がない場合はもっとも標準的なCD音質で仕上げるのがいいのかなと思っています。
また、リミティング時のマージンは約半数が0でした。これについては、私はマージンは取るべきであると考えています。その理由はファイル変換や再生環境によって音割れしてしまう可能性があるためです。あとでちょっと詳しく記事にしてみようかなと思っています。
余談ですがこのマージンが0.10の方が5人ほど居ました。0以外だと最多かぶりですが明らかに多いですよね。この理由はInvisible Limiterの初期設定が画像のようになっているからと予想したのですが如何でしょうか?
とういわけで第二回ぷるれこマスタリング選手権は如何だったでしょうか。
第一回に引き続き20近くの方に参加いただき大変嬉しく思っています。
このような他のDTMブログでは無いような企画が実現できているのも参加して頂いた皆さんのおかげであります。
参加された方もそうでない方も、すべての作品を聞いていろいろなマスタリングに触れてみては如何でしょうか。
それでは次があるかわかりませんが、また次回!!